「お金とは何か?」
シンプルな問いですが、この問いに自分の答えを持っているかどうかで、お金との付き合い方は大きく変わると思っています。
僕の答えはこうです。
お金は道具です。使うことで、交換価値の目盛りとして機能します。
今日は、僕がこの答えに辿り着くまでの経緯と、そこから派生したお金との向き合い方を、まるごとお話しさせてください。
第1章:複式簿記との出会い ― 「お金は目盛り」だと気づいた瞬間
最初に「お金とは何か」を意識したのは、初めて正社員として勤め始めたころです。
きっかけは、複式簿記でした。取引を「お金の出入り」だけでなく、その理由とセットで記録していく仕組みです。
複式簿記が表現している世界は、お金という目盛りを通して、世のなかの事象を数字化して記録するというものです。同じ金額の領収書でも、ストーリーが違えば、記録のされ方が変わります。
たとえば、コンビニのレシート。内容はあんぱん1つと缶コーヒー1つ。金額は200円です。
ここからどんな世界を表現できるでしょうか。
- 福利厚生費として経費精算されていたら、深夜勤務の夜食代かもしれません
- 会議費として経費精算されていたら、お客様との打ち合わせで買ったのかもしれません
- サラリーマンの財布のなかにあるなら、朝食でしょうか
同じ200円のレシートでも、現実はまるで違う。
そして、もうひとつ大事な気づきがありました。
記録できるのは、お金で測れるものだけ。
お金で測れないものは、世のなかにたくさんあります。
このとき、僕のなかで答えがまとまりました。お金は道具で、使うことで交換価値の目盛りとして機能する。だから、お金を扱うときは「お金では測れないもの」を認識するための思考が要る。
第2章:お金では測れないもの ― 家族との食事と、18万円のバイク
「お金では測れない価値」を、僕は2つの場面で痛感しています。
毎日、家族と食事をすること
食事自体は、お金で買うことができます。同じメニューを、ひとりで食べることもできます。
でも、その食事が家族や大切な人と一緒だからこそ、より美味しく、より楽しくなる。
僕にも一人暮らしの経験がありますが、ひとりの食事はあまり好きではありませんでした。映画『サマーウォーズ』のなかにも、「一番いけないことはお腹がすいていることと、1人でいること」というセリフが出てきます。意味は少し違うかもしれませんが、ひとりで食べる時間の味気なさを、まさにあの言葉が言い当てています。
毎日、家族と一緒に食事ができることで、同じ食事が美味しく楽しくなること。
大学時代に初めて買ったバイク
もうひとつは、大学時代に初めて買ったバイクです。
中学生のころ、ある漫画でバイクに興味を持ちました。「いつか乗りたい」と思い続け、高校を卒業して免許を取り、アルバイトで4か月ほどかけてお金を貯めました。
中古で、たしか18万円ぐらい。憧れのバイクではなかったけれど、同じメーカーの同じ色でした。
夏は止まるととにかく暑く、冬は膝が凍てつくほど寒い。それでも、楽しかった。自分で叶えられた夢のひとつでした。
8年ぐらい乗って、その後、数年乗らなくなって、最後にはボロボロの状態で0円で引き取られていきました。
会計の目で見れば、18万円が0円になった。100%の減価です。でも、その8年で得た経験や、自分で稼いだお金で夢を叶えた手応えは、目盛りには記録されません。
「測れる側」と「測れない側」。お金は前者しか映せない。だから、後者を意識することが大切なんだと気づきました。
第3章:測れない価値を、測れる目盛りで守る
ここからは、僕の家計と投資の話です。お金では測れない価値を守るために、お金という測れる目盛りをどう使っているか。
行楽費は、別予算で積み立てていく
僕は、月予算のほかに予備費や行楽費の枠を別で設けています。家族と過ごす際のお金の使い方に、柔軟性を持たせるためです。
正直に言うと、予算が余っても投資にはほぼ回しません。もともと使う前提のお金だからです。
特に行楽費は、年間予算を立てて、使わなかった場合は来年も同じ金額を予算計上して、さらに大きくしていきます。同じ予算ではできないことも、これなら諦めなくていい。たまったら大きな旅、都度都度なら少し良い旅、という選択肢が持てます。
仮に投資が上手く行かなくても、学費はなんとかなる計画を立てたつもりです。老後については、申し訳ないけれど妻にも協力してもらう前提ですし、そうならないように舵取りをしていくのみです。
「予算」は、価値観の表明
僕にとって予算は、「使いすぎないため」のものです。予算内で収まれば、それで成功。
必要な投資額は、予算決定の段階で確保しています。だから、月の予算が余ったとしても、それを無理に投資へ回す必要はありません。
そもそも予算が余ったのは、家族の協力があってこそ。自分ひとりの努力ではないので、余ったぶんは家族や自分に還元するのが自然です。
目標値は家族のため、投資そのものは趣味
運用プランのスタートは、終の棲家を買う資金でした(当時は賃貸でしたし、僕はもともと賃貸派です)。そこから「老後の生活を高めるための投資」へプランを切り替えて、いまは「あわよくば、引退後も今と同じ生活水準を保てる収入を確保したい」と思って思案中です。
子どもたちの教育費は、両親が僕に与えてくれたものと同じ規模(大学時代に一人暮らしを経験できるくらい)を目標にしています。中学から私立、というような大規模な計画ではなく、自分が受け取ったものを次世代に渡すイメージです。
ただ、正直に言うと、お金を増やすことや投資をすること自体は、僕の趣味のようなものでもあります。考えて実行するのが楽しい。
だからこそ、自分が楽しむための投資の目標を、『家族の未来』という場所に置かせてもらっている。そんな表現が、いちばん近いかもしれません。
第4章:目盛りを読み間違えた、僕自身の経験
ここまでが「お金との向き合い方」の成功側だとしたら、ここからは失敗側の話です。
「リスクを取らない」ことが、そのままリスクだった
教育費のシミュレーションをした時点で、「インフレになったら足りなくなる」というのは頭にありました。それでも、当初の計画では、学資ではリスクを取らずに預金だけで達成させるつもりでいました。
ところが、実際にインフレが進んだことで、「現金のままでは、まずいことになる」と気づきました。
リスクを取らないと言っていたことが、そのままリスクとして表れたわけです。
だから今は、運用方法をあらためて、長期運用結果が投資額を下回る可能性を限りなく低くしつつインフレ以上の成果が期待できる設計に切り替えています。
FX、信用取引、草コイン
FXも株式の信用取引も、損しました。
仮想通貨も、草コイン(時価総額が小さく値動きが激しい暗号資産)に変えたら、10倍になったあと半分になり、また5倍になって、いまは投資額の1/10以下です。紙くずになっている……いえ、暗号資産だから紙くずという表現は正しくないですね。
「あのままビットコインで持っていたら100倍を超えていた」と思うことは、何度もあります。
挑戦するなら、何度もできる規模で
こうした失敗を、全否定する気はありません。
何度も挑戦できる規模で、大きく当てにいく戦法も、やり方次第ではアリだと、思っています。大事なのは、規模です。負けても、何度も挑戦し直せる範囲なら、失敗そのものが学びとして残る。今の投資資金で1/10以下になると家族の計画が破綻するので、いまはその戦法を取りませんが、規模を選べば挑戦は続けられます。
でも、この記事を書きながら気づいたのは、いつの間にか『金持ち父さん 貧乏父さん』の教えの一つを忘れていたのかな、ということです。
金持ち父さんから学んだ教えのコア(他責にせず、自分を変えるというスタンス)は、忘れたことはありません。ただ、**「売るときに利益が出るものではなく、買ったときに利益が出るものに投資しなさい」**という教えは、いつの間にか体現できなくなっていました。これは、このあと学び直し予定です。
第5章:道具だから、使い方を学び続ける
最後の話は、学びを続けるための仕組みです。
アウトプットで定着させる
僕が「学び続ける」ためにやっていることは、シンプルです。
- 積極的に新しい思考に触れる
- 新しいものに触れたら、誰かに話して説明する。これをアウトプットの形にして、説明が甘ければ学び直す
- 話題に上がったときに、頭で思い出せなければ調べる
このブログ「プライベートバンキングしようぜ。」も、僕にとっては忘れないためのアウトプットをする場なんだと思います。
未来の自分に宛てた、今の手紙
少し関係のない話に聞こえるかもしれませんが、僕は自分自身の記憶は変わるものだと感じています。
今の僕が振り返るある過去と、10年後の僕が同じ過去を振り返ったときには、きっと違う記憶になっていると思います。
田坂広志さんが教えてくれたヘーゲルの「事物のらせん的発展の法則」と同じで、同じ場所に戻りながらも、僕は一段ずつ違う場所にいる。だから、同じ過去も違って見える。
このブログは、そういう前提で書いています。未来の自分に宛てた、今の自分から「過去の思考」の記憶として。
まとめ:
ここまで読んでくれた方に、ひとつだけ持ち帰ってほしいことを書いて、締めます。
お金は道具。道具だから、使い方を学ぶ必要がある。上手く、永く使いたいなら。
道具そのものに、善も悪もありません。目盛りをどう読むかは、使う人の価値観次第です。 そして価値観は、学び続けることで磨かれていきます。
このブログも、僕の家計も、僕の投資も、すべて「道具の使い方を学び続けるためのアウトプット」です。ずっと途中で、その途中を楽しんでいます。
知識は豊かさの種。どう育てるかはあなた次第。
一緒に、プラバンしようぜ。 NOK
