株式と債券、比率を変えると30年後はどう変わる?全パターンをシミュレーションで比較した

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「株式と債券、何対何で持つのが正解なの?」

この質問に「これが絶対正解」という答えはありません。でも、数字で傾向を見ることはできます。

今回は株式(オルカン相当)と先進国債券の比率を10:90から90:10まで9パターンに変えて、30年運用した場合の結果をシミュレーションで全部並べました。リバランスあり・なしの比較も含めています。


シミュレーションの条件

  • 初期投資額:1,000万円(一括投資、追加投資なし)
  • 運用期間:30年
  • 資産:株式(全世界株式・オルカン相当)+ 先進国債券
  • リバランス条件:年1回チェック + 乖離幅5%で発動
  • 手法:モンテカルロシミュレーション(10,000回)
  • 集計:上下5%(極端なケース各500回)を除外した90%の分布から算出

使用した前提値

年率リターン(想定)ボラティリティ
株式(オルカン相当・円換算)7.5%16%
先進国債券(円換算)3.0%7%
相関係数−0.1(弱い逆相関)

なぜモンテカルロシミュレーションか

バックテストは実際の過去データを使うため信頼性が高い反面、過去の時系列に合わせた後付けの調整が入りやすいという問題があります。私たちが投資するのは未知の未来です。過去データから得られたリターンとボラティリティをもとに、あり得る未来を10,000通りシミュレーションする手法の方が、実態に近い検証ができると考えました。


全パターンの結果

初期投資1,000万円・30年後・上下5%除外

リバランスあり(年1回+乖離幅5%)

株:債券最悪ケース中央値最良ケース
10:901,481万円2,613万円4,544万円
20:801,735万円2,993万円5,180万円
30:701,930万円3,420万円5,993万円
40:602,004万円3,792万円7,292万円
50:502,037万円4,233万円8,672万円
60:402,008万円4,744万円10,960万円
70:301,912万円5,074万円13,511万円
80:201,783万円5,561万円16,412万円
90:101,654万円5,820万円20,169万円

リバランスなし

株:債券最悪ケース中央値最良ケース
10:901,601万円2,844万円5,138万円
20:801,799万円3,304万円7,040万円
30:701,882万円3,710万円8,954万円
40:601,908万円3,967万円10,925万円
50:501,911万円4,392万円13,328万円
60:401,891万円4,841万円15,649万円
70:301,802万円5,088万円18,059万円
80:201,714万円5,569万円19,933万円
90:101,621万円5,792万円21,440万円

データを読み解く

① 株式比率が高いほど、中央値・最良値は大きく伸びる

当然の結果ですが、数字で見ると差は想像以上です。50:50の中央値が4,233万円に対して、90:10では5,820万円。30年で1,600万円近い差が出ています。「長期なら株式多め」という話の根拠がここにあります。

② 最悪ケースは50:50付近がピーク

リバランスありの最悪ケースを見ると、50:50(2,037万円)が最も高く、そこから株比率を上げても下げても最悪値は下がります。最悪の状況に最も強いのは、50:50という結果です。

③ 債券比率が高い場合、リバランスは逆効果

ここが意外な結果です。

配分最悪ケースの差(リバランスあり−なし)
10:90−120万円(リバランスなしの方が上)
20:80−64万円(リバランスなしの方が上)
30:70+48万円
40:60+96万円
50:50+126万円(最大)

10:90・20:80では、リバランスなしの方が最悪ケースの結果が良い。これはなぜか。

債券比率が高いポートフォリオでは、株が下落したときに株の比率がさらに下がります。リバランスするとそこで株を買い増すわけですが、そのための原資(債券の売却)で債券の安定したリターンを手放すことになる。結果として、底をさらに掘ってしまうケースが増えます。

リバランスの底上げ効果は、株式比率がある程度ある(30%以上)ポートフォリオで有効に働く、ということです。

④ 最悪ケースは50:50を中心に対称になる——でも中央値は全然違う

これがこのシミュレーションで最も面白い発見です。

配分最悪ケース中央値
30:701,930万円3,420万円
70:301,912万円5,074万円
18万円(ほぼ同じ)1,654万円(大きく違う)
40:602,004万円3,792万円
60:402,008万円4,744万円
4万円(ほぼ同じ)952万円(大きく違う)

30:70と70:30は、最悪ケースがほぼ同じです。つまり「最悪の状況に陥ったときのリスクは同程度」なのに、中央値(普通の結果)は1,654万円も違います。

これが意味するのは、最悪ケースのリスクが同じなら、株式比率を上げた方が期待リターンは大きく改善するということです。「債券を増やせばリスクが減る」というイメージで比率を下げると、最悪ケースは改善しないまま、中央値だけ大きく下がってしまう可能性があります。

「安全のために債券を増やす」選択が、本当にリスクを下げているかどうか。このデータはその問いを投げかけています。

⑤ 中央値はどの配分でも、リバランスなしがわずかに上回る

全パターンを通じて、中央値はリバランスなしの方がやや高い(90:10のみ例外でほぼ同値)。これは以前から言われていることで、「普通の相場ではリバランスの手数料(税コストや機会損失)がわずかに不利に働く」という傾向と一致します。


どの比率を選ぶべきか

この記事では「正解の比率」を提示しません。それはあなた自身のリスク許容度と、人生の設計によって変わるからです。

ただ、データから言えることは4つ。

最悪のシナリオに最も強いのは50:50。 最悪ケースの底上げ効果も最大です。

中央値・最良値を最大化したいなら株式比率を上げる。 ただし最悪ケースも下がることは忘れずに。

債券比率が高い(30%以上)なら、リバランスは有効。 それ未満の債券比率では、リバランスの効果が薄れる。

そして、このシミュレーションで最も重要な発見。 30:70と70:30の最悪ケースはほぼ同じなのに、中央値は1,654万円違う。最悪のリスクが同程度なら、株式比率を上げた方が期待リターンは大きく改善する。「安全のために債券を増やす」選択が、本当にリスクを下げているかどうかは、このデータが疑問を呈しています。

知識の差が、豊かさの差になる。どの比率を選ぶかは、あなた自身が決めることです。

口座開設はネット証券で。

※このシミュレーションは過去データをもとにした想定値を使用しており、将来の運用成果を保証するものではありません。この記事の情報は2026年5月時点のものです。制度・サービスの内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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